陰と陽と、もうひとつ。

鍼灸学校に入る前は「陰陽五行」はひとつの言葉だと思っていた。
「弱肉強食」みたく四文字熟語だと思っていた。

鍼灸学校に入ってからもしばらくはそう思っていた。
「陰陽五行」の1セットで巷間にあふれているものだから、てっきりひとつの言葉だと思っていた。

「陰陽」も「五行」もそれぞれに生い立ちがあるのだと、はっきり教わったのはいつだったろう。
卒業してからだったかもしれない。

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打鍼で息苦しさのとれた話2

息苦しかったのは、お腹や胸の辺りが硬くなっていたせいだ。思い悩み、一点に全てが集中し、凝り固まり(それが高じれば、きっと身体にも塊ができるのだろうが)とにかく、硬くなっていた。
打鍼の振動は、固まったものを揺らして流して柔らかにした。

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打鍼で息苦しさのとれた話

打鍼(だしん)とは・・・
小さな木槌で鍼を叩いて刺入するもので、江戸時代に御園意斎という人が広めたとされる。現代では刺入する事はなく、主に「刺さない響かせる鍼」として用いられている。

打鍼を初めて目にしたのは学生時代の実技の時間で、その時には「こんな鍼もある」という紹介と「こんなふうに叩く」という説明があったのみ。それ以来、打鍼と再び出会う事はなく、打鍼を臨床で用いる事もなく、自分には縁のないものだと思っていた。

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「古傷」は古いのではない 2

古傷を古いものと分類しているのは、私達の頭の中にある「社会的な時間」の枠組みだ。

例えば、小学校を卒業して何年も経つと当時の大怪我などは懐かしい思い出となってしまい、大きく開いた傷口や折れた骨などは思い出の中にだけ存在するものとなり、完治した今となってはそれらは済んでしまった過去の事だと思っている。

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