老いて香りし

お香にも等級のようなものがあります。

白檀ならば「老山」と呼ばれるものは60~70年の老木から採れたものを言い、「百年老檀」と呼ばれるものは100年以上の古木から採れたものを言います。

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沈香でも「百年」や「千年」といった名称が付くと、それは、100年或いはそれ以上の古木から採れたものだという事を示し、古いものほど高級なお香になります。

おもしろいのは、そういった高級なお香ほどお香自体に香りがないのです。
そして、焚いた直後に香りが立ち上るというよりも余韻の長さにその特徴があり、その余韻の長さゆえ、時間と空間共に香りで満たされるのです。

この夏「千年」クラスの沈香の香りを聞く機会がありましたが、なかなか貴重な体験でした。

焚いた直後は一瞬見失うのですが、程なく、辺りに漂う香りに気づきます。
それまで様々な個性的なお香を楽しんでいましたが、「千年」はそういった香りを主張してくるタイプのお香とは全く違いました。

香り立つ、というよりも、空間に漂う、という感じなのです。

個性など消え去り、あたりの空間に偏在する感じは、まさに「仙人のお香」だと思いました。
高級なお酒ほど雑味がなくなり「水」に近づくように、高級なお香もまた「空気」に溶け込んでいくのかもしれません。

老木、古木になるほどに、癖や主張が消え静かに周りを包み込んでいくようになる。。人もそうあれば。