以前、世界の不思議を旅するテレビ番組にて古代エジプト特集をしていた時の話。
死者を弔う作法で実に興味深い話があった。
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太陽信仰であった古代エジプト人は、その死後も朝日を拝する為に、死者の眠る棺に「ある仕掛」を施すという。
その仕掛とは何か?というクイズに対し、解答者達は「棺に覗き窓をつける」「棺の内側に太陽の絵を描く」といった答えを述べていた。
正解は「棺の外側に目を描く」というもので、正解者は誰もいなかった。
これは衝撃的だと思った。そのような発想は思いもつかなかった。
棺の覗き窓も、棺の内側の絵も、死者に見せる為のものだ。その発想の根拠は何か?
死者の身体にも生者と同じく見る働きが備わっているという考えか、死者にも生者と同じように接したいという思いか・・。
棺の外側の目とは何か?
少なくとも、弔う者の意識も死者の魂も、死者の身体を超えたところにあるのがわかる。古代の人の意識は個の肉体を超えたところにあったのだ。
皆の解答は、何とかして死者の目に見えるようにという発想から抜けることはなく、我々現代人の意識は、肉体から離れることは難しいのだと感じた。