鍼灸学校に入る前は「陰陽五行」はひとつの言葉だと思っていた。
「弱肉強食」みたく四文字熟語だと思っていた。
鍼灸学校に入ってからもしばらくはそう思っていた。
「陰陽五行」の1セットで巷間にあふれているものだから、てっきりひとつの言葉だと思っていた。
「陰陽」も「五行」もそれぞれに生い立ちがあるのだと、はっきり教わったのはいつだったろう。
卒業してからだったかもしれない。
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陰と陽は、ひとつである。
「あなたとわたし」は、実は「あなた」でもあり「わたし」でもある。
「二」は「一の裏と表」で、「一対一」の世界は、実は「一」なのだ。
陰陽が物事の始まりであることは疑いようがない。
生命は本来はシンプルで、原初の世界とは陰陽で語り尽くせるものだったろう。
けれども私達の生きる場は、原初の世界から随分と離れたところまで来ている。
もはや陰陽で語り尽くせるものではない。白黒などつかない。
「二」は「いのち」の始まり。
そして「三」こそが「社会」の始まり。
夫婦、恋人、友人、会社と会社、国と国・・・
あらゆる「二」という関係に、「三」を加えてみて欲しい。
途端に、複雑になる。
「三」というバランスの中で生きる事が、人間社会で生きるという事なのだ。
五行の手前には、まず、この「三」がある。