時間と空間について考えさせられたお香ですが、お香から学んだ事は他にもあります。
「ケミカル」というものについても、とてもはっきり認識させられました。
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天然成分のお香をつかうようになって気がついた事は、自分自身の体調によって欲する香りが変わってくる事と、お香自体が季節によって変化するという事。
春の名残の空気の中ではツンと刺激に感じたスパイシーさも、夏を迎え湿気が益していく中では不思議と甘く感じられました。熱い国では香辛料の効いた料理がおいしいように。夏は漢方の入った沈香がよく合いました。
秋の訪れと共に懐かしくなるのは、やさしいほのかな香り。夏には見向きもしなかった香りです。漢方の入っていないシンプルな沈香や金木犀の花、若い白檀など。
冬の足音に合わせて選ぶのは、どっしりと甘い香り。熟成された白檀や沈香が良いです。
天然のお香は香木そのものに近い為、樹木の記憶そのままに季節と呼応しながら生き続けているようです。
ケミカルなお香には、そういったゆらぎはありません。いつもいつでも一定の成分で香りを発し続けます。それこそがお役目でありますから。
中国香をつかいはじめてから久しぶりにケミカルなお香を焚いてみて、その香りのきつさに驚いた事があります。以前は全く気がつかなかった事でした。
同じような発見は中国茶でもありました。