養老孟司は都市化した社会の事を「脳化社会」と表現した。
自然物以外のあらゆる人工物は、人間の脳が作り出したものであり、
現代人は「脳」の中で生活をしているようなものなのだ、と。
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「人工的」というと、続いて「機械的」「無機的」等々の言葉が連想され、
「自然」と対極にあるものを考えるだろう。
人は本来自然な存在である、とするならば、
人工物は生んだ覚えのない継子になってしまわないか。
自然物と対極にある人工物こそ、人の意識のむきだしの姿だ。
「内なる自然」とか「自然にかえろう」など、無責任に言えない。
自然そのものの身体の中に、自然に逆らう意識を宿す。
人の複雑さはそこにある。
さて、コントロールすべきは、身体か意識か。