「一輪のばらはすべてのばら」
ライナー・マリア・リルケ
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この言葉と出会ったのはリルケの詩集ではなく、辻邦生のエッセイか何かであったと思う。
パリの国立図書館にはリルケ詩集の豪華本が飾られてあり、詩集の中のその一行に、目が釘づけになったという話が書かれていた。
タイトルもわからないその詩が知りたくて、ちょっと探してみた事があった。遠い遠い昔の思い出。
「あらゆるリルケの詩集を片っ端から調べあげ、その一行を探し出す」とまではいかなかったので、結局は見つけることが出来ないまま今に至っている。
私には、辻邦生を通して知ったこの一行だけで十分だったかもしれないとも思いつつ。
「一輪のばらはすべてのばら・・」
一輪のばらはただ一輪なのではなく、そこにはすべてのばらが表われている・・
ひとつが全体を現わしている。
より多くを探し求めずとも、今目の前にあるそのものの中に求めるこたえがすべてある。
そのこたえに気づけるか。