究極の未病治

「未病を治す」ってどういうことだろう?
鍼灸学校時代から、もんもんと考えていた事です。

養命酒のCM等で一般に認識されている「未病」とは、
西洋医学で病気とは定義できないけれど、病気のちょっと手前ですよ、
このままでは病気になりますよ、という状態の事。

けれども東洋医学の視点でみると・・
病気も病気のちょっと手前もバランスが傾いたという意味では同じ。
東洋医学はバランスの傾いた身体に対して治療を行うものだから、
西洋医学の視点からいう「未病」は、すでに東洋医学の視点からみると「未病」ではない。
では、東洋医学でいう「未病を治す」とは、何の事をいっているのだろう?

治療の「タイミング」の話ではないように思う。
あらゆる局面に応用できる奥の深い言葉であるから、
技術論の中で展開することは出来ると思うけれども、
「未病」という言葉の本質ではないような気がします。

未病治というものについて現時点での私の理解を述べてみるなら、
「未病を治す」とは・・「患者さんの考え方を変えること」だと思います。

人には、生活の「クセ」や思考の「クセ」があり、
それらの「クセ」が、病気を育てていく事が多いです。
その「クセ」が治らない限りは、病気もなかなか治らないし、
治ってもまた、再び、同じ病気になります。

いくら養生を説明しても本人の実践がなければ何の意味もありません。
食生活を変えていただく事など、本当に難しいです。
一番大切なことは、患者さんに本当に「わかってもらうこと」だと思います。

考え方が変わり養生ができるようになれば、病気になりにくい身体になっていきます。
これこそが「未病を治す」だと思いますし、また何よりも一番難しい事だと思います。