ひそかに思っていることがある。五兪穴の運用法は「鍼師が自らを治療する中」で磨き上げられていったものではなかろうか、ということである。
五兪穴は「井・滎・兪・経・合」の五穴。すべて肘より先、膝より先にある経穴で、臨床上とても重要な「ツボ」となる。流派や理論の違いはあってもこの五兪穴の役割は等しく大きい。
五兪穴、原穴、郄穴、絡穴、募穴、背部兪穴とある要穴の中でも、「五兪穴」にはひとつの家族のようなまとまりを感じる。「原穴、郄穴、絡穴」にはその親戚くらいの距離感を感じるし、「募穴、背部兪穴」などはまったく別の一族という感じがする。要穴とひとくくりには出来ないそれぞれの「生い立ち」がある。